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番号:004 言花

それは胸の中で生まれると、どんどんどんどん頭にあがって来るのです。
私の頭は小さくて、すぐにいっぱいになってしまうのに、それは口を開いても、瞬きをしても、耳をとんとんしたって、ちっとも出て行ってくれません。
きっとそのうち、あふれてしまうに違いないのです。

「……リン、リ・ン!」
ミミマキムクネのシュショテは可憐な眉間にしわを寄せ、先ほどから目をぱっちり開けたまま動かない友人の肩を掴んで揺らした。
「ん?」
同じく紫ムクネの友人リンは、シュショテの不機嫌などまったく存ぜぬようすで、呑気に聞き返した。
茹でたキャベツのような透明感のある瞳、牛乳を寒天で固めたようなつるつるの肌、極上の真珠貝を割ったようなシェルピンクの唇、とこの友人、見栄えだけなら控え目に言って物凄い可愛い。挙句に喉も、雲雀が人語を解したかのような可憐な音がでる。
しかし天は二物をあたえずというか、二つ与えて三つ奪ったというか。まるで地面から五センチ上を歩いていると人々に言わしめた彼女の個性に、シュショテはため息を禁じえないのであった。
「ん、じゃないお馬鹿。なにさっきからぼんやりしてるんだよ」
「寝てたの」
リンは乾いた目をごしごししながら、大きな欠伸をした。
目を開けたまま寝るなんて、と普通に切り返してもこの友人には何の効果もないことを知っているシュショテは、痛む頭を放ってリンの向かいにある自分の席に座りなおした。
「でも人の誕生パーティーに寝るかなぁ」
「ん」
二人の前の机にはお菓子が山と置いてあった。少し欠けたホールケーキ、ガラスの器にいっぱいのフルーツポンチ、焼き菓子の群れは皿の上でピサの斜塔を自然と演じている。
どれもこれも、シュショテの誕生会のために用意されたごちそうである。
「しかし、ダガーたちも遅いね。早くしないとリンが全部食べちゃうってのに」
もう一切れ、とホールケーキに伸ばされたリンの手をぴしゃりと叩き、シュショテは切ないため息をついた。
ふと、その目が机の上に置かれたものに止まった。すると、苦々しかったその相好は崩れ、嬉しそうにそれを手に取った。
「お前が、こういう洒落たものを持ってくるだなんて、正直びっくりしたよ」
それは可憐な押し花の栞だった。見たこともないような愛らしい花が、色紙の上で咲き誇っている。シュショテが読書好きであることを考えた、素晴らしい誕生日プレゼントだった。
本当にありがとう、とシュショテは彼女にとって最大限の笑顔で微笑んだ。
「でも、この花は何て言う名前……リン?」
急に押し黙ってしまった友人の顔を覗き込んで、シュショテはその名前を呼んだ。
「ん?うん……どういたしまして?」
リンはすぐに顔をあげて答えたが、様子が変である。
「変人がお前のステータスだってことは理解しているつもりだけど、今日は輪をかけておかしいぞ」
熱でもあるんじゃないのか、と半ば本気で言ってみれば。
「う〜ん」
リンも困ったように首をかしげた。その視線がちらっとシュショテの持っている栞に流れる。
その態度に、まさか、とシュショテはやや眉間にしわを寄せて詰め寄った。
「この花、ひとんちで採ったとか、そういうんじゃないだろうね」
「違うもん」
今度ははっきりと返答が返ってきた。そりゃそうである、このムクネ、常識には酷く疎いが、善悪の区別くらいはつく。ひとまず胸をなでおろしたシュショテであったが、それは長くは続かなかった。
「頭から生えてきたんだもん。ね、モイモイさん」
とリンは頭に載っている帽子生物(としか言いようがない)モイモイさんに話しかけた。彼(彼女?)は、面倒くさそうにリンを一瞥してから、もぞもぞと動いた。どうやら肯定しているらしい。
モイモイさんは一見ただのフェイク(リアルだが)ファーハットであるが、爛々と輝く二つの瞳に、小さな鼻とむすっとした口をもつ謎の生き物なのである。
「頭……から、生えた?」
「うん、ほら」
そういうとモイモイさんが心得たようにいつもの定位置―リンの頭―から飛び降りた。するとそこには、押し花になっていた花と同じものが咲き乱れているではないか。それは派手な髪飾りのようにも見えたが、シュショテは紫の髪に交じって茎と葉が風にそよぐのを見逃さなかった。
さしものシュショテもこれにはあいた口がふさがらず、しばし放心したまま動けなくなった。
その間にモイモイさんを頭に戻すと、リンは頭を重そうに振りながら、ふらふらと立ち上がる。
「やっぱりダメだぁ。頭がぐるぐるする」
頭冷やしてくる、というが早いか、リンは意外と身軽に虚空へ飛び上がった。
「あっ!!待て……」
一瞬遅れて正気を取り戻したシュショテであったが、その制止は遅すぎた。
影も形もなくなったその場所を見て、シュショテは再度のため息が重くなるのを止められなかった。

「もぉ〜この方向音痴ぃ〜」
ぽかぽか、とオオツノワタケのソングはジュラファントのスクリーミングダガーを小さな拳で叩いた。とはいっても長身のダガーの前では、ソングは背伸びをしても胸辺りまでの目線しかないので、攻撃力もたかがしれているのだが、温厚な彼女にしては珍しくかなり怒っているらしい。天使のような造作のなかにある、二つの垂れ目の目じりを吊り上げるようにして、怒気を表していた。
「シュショテの誕生会に〜遅れちゃうじゃなぁい!」
「し、しかたねぇだろ、アタシはちゃんと/moveしたんだって!!」
「貴女のそれはランダム放浪と同じよぅ!いいかげん自覚しなさぁい!?」
下手をしなくても、そこらの男よりも頭一つ分背の高いダガーであったから、その光景はまるでしっかり者の妹に怒られるお姉さんのような、少しほほえましいものだったに違いない。だが実はソングの方が年が上である。
しかもこんな調子で、ダガーは説教を食らい慣れているため。今回この小さな友人がとても怒っている事も容易くわかった。
「迷ってる自覚もなく〜何回も飛ぶから〜追いかけるだけでも大変だったんだからぁ!」
おっとりとしか動かない舌が、次々と説教を並べだす。
悪い兆候だ、とダガーは本能的に後ずさった。なんの比喩でもなく、雷が落ちてくるかもしれない。しかし真っ青に晴れ渡った空を見上げて、ダガーは息をのんだ。
「へ?」
青空の一点に、いきなり紫のふわふわが見えたのだ。すると次の瞬間、彼女の頭に何か重いものが落っこちた。
【どすん!】
「ぐえっ!」「のぎゃ!」
「きゃぁ」
二匹分の蛙が潰れたような音と、一泊遅れて、落下物を華麗によけたソングの(緊張感のない)悲鳴が響く。
「いててて、な、なんだよ!」
ダガーは自分の上に乗ったままのそれをどかそうとしたが、紫のフリルの塊のようなそれはぐにゃっと生温かく、やわらかく、そして変な声を出した。
「むぎゅう」
「あら〜、あなたリンじゃなぁい」
ソングがいち早く気づいた通り、降ってきたそれはリンであった。
「だぁいじょうぶ?」
「う〜ん……あ、ソング」
なんでここに?というように首をかしげれば、ソングはにっこり笑ってダガーを指差した。
「いつものあれよぉ、ダガーがねぇ……」
「あぁ」
皆まで言わなくてもよくわかった、と手を打ったリンの下で、ダガーは恨めしそうに二人を見上げた。
「とりあえず、そこどけ」

リンは先ほどまでの一部始終と、頭の花のことなどを話した。
「へぇ、お花がねぇ〜」
「今は頭重くないのか?」
「うん」
よかったわ〜と微笑むソングの隣で、まだリンは悩んだ顔で首をかしげた。
「でもシュショテといると頭が重くなるの、なんだかぐるぐる〜っていっぱい“何か”があがってきて……」
「ん?よくわからねぇけど、ストレスって奴か?」
また説教くらったんだろ、と言えばリンは不服そうに頬を膨らませた。
「ダガーと違うもん、私悪いことしてないもん」
「そうよねぇ」
「お前ら、アタシの沸点を試そうって言うなら、受けて立つぞ」
ソングは背の高い友人をすっきり無視して続けた。
「でもぉ、その“何か”って気になるわぁ。あがってくるって、どこから〜?」
「ここ」
リンは胸をおさえた。
「ここをぐるぐる〜って回った後、ぎゅーんって頭までくるんだけど、いっぱいいっぱいになっても出て行ってくれないの。本当にもう限界って思うくらい頭が重くなると、一つ花が咲くの」
二人はリンの頭の上を見た、赤、青、黄色、緑、紫、白、様々な色彩が一つの花のなかに閉じ込められていて、赤やオレンジのような温かい色が強いものもあれば、青や緑といった冷たい色が強いものもある。
「抜いてもぉ痛くないのよね〜?」
「頭から生えてるって言うより、くっついてるんだな、こりゃ」
いつ咲き始めたんだ、とダガーが聞けば、リンは少し悩んでから答えた。
「シュショテの誕生日プレゼントを探してた時」
「やっぱりぃシュショテに関係するのかしらぁ」
「とりあえず、そのシュショテだっていつまでも放っておく訳にもいかねぇだろ。なんてったって今日の主役なんだからよ」
「そうねぇ、一人じゃきっと寂しぃわよね〜」
二人が立ちあがると、リンはダガーの腕に紫の痣が付いていることに気付いた。おそらく先ほどリンが落下した時についたものであろう。時間がたって、色が浮いてきたのだ。
リンの不安の視線に気づいたダガーは、自分の腕を見たが、すぐに笑ってこう言った。
「あぁ、これくらい平気だよ。アタシは慣れてるから」
「頑丈なくらいしか、取り柄もないものねぇ〜?」
ダガーの運動神経は、リンやソングが知っている者の中で一番すぐれていた。先ほどだって反射的に受け身をとって、大けがを防いだのだ。
すると、突然リンは小さな頭を抱えるようにして呻きだした。
「う〜んう〜ん」
「リン?」
モイモイさんがまたリンの頭から、今度は何かに追い出されるかのように、リンの腕へと飛び降りた、するとそこからポンッ!と新しい花が咲いたではないか。
それは紫と青の、冷たいグラデーションの花であった。
「また駄目だぁ」
リンは逃げるように、また空中に飛び上がった。
そして二人がなにを言う間もなく、再びその姿は掻き消えたのである。
唖然としているダガーの横で、ソングは何か考えるように顎に手をやった。
「あれってぇ、もしかしてぇ……」
その時、二人の前に何かが落ちてきた。それは先ほどのリンのような無様なものではなく、ちゃんと降りる場所を見定めて着地したシュショテである。彼女はしばらく辺りを見渡して、リンの姿がないのを確認すると、二人に向き直った。
「で、どうしてここにいるんだい?ダガー、ソング」
今度はソングが何か言う前に、シュショテはダガーに呆れた視線を投げた。また迷ったんだね!?
「うっ」
「君って人は、まだ自分に方向感覚があると思っているんだから!」
あんまりだ、と隅で“のの字”を書いていじけ始めたダガーを無視して、小さな二人は向かい合った。
「惜しかったわぁ、リンならさっきまでここにいたのよぉ」
お花の話をしたわぁ、と言えばシュショテは重々しくうなずいた。
「あのお馬鹿は、どうやら頭の中の花畑だけじゃ収まらないようだね」
「それなんだけどぉ、あの子〜もぉちょっといろいろ考えてるみたいよぉ」
「どういうことだい?」
「それは〜飽くまで推測だからぁ、あの子がいるときに説明した方が、早いと思うのぉ」
それじゃあ、もう一回追っかけるしかないってことか、とシュショテはため息をついた。地に足付かないムクネを追いかけるのは中々骨が折れるのだ。
すると突然立ち直ったダガーが起き上る。
「よし!じゃあアタシが今から/driveで!!」
「「やめなさい」」
二人のちびっこに服の裾を抑えつけられたダガーは、今度こそ受け身のとれない体勢で地面に墜落したのだった。

「皆どこ行っちゃったのぉ〜!!わ、私が目立たないからって、あんまりだわ〜!!」
ぼて、とあまり優雅でない着地を決めたリンの耳に、一番に飛び込んできたのは、そんな泣き言であった。同時に頬を打つ大粒の雨粒を感じる。
リンはびしょ濡れになる前に適当に雨しのぎになる場所へ駆け込んだが、すぐにそれが大きな机の下だということに気付いた。なぜならその机に彼女は大いに見覚えがあったのだ。
恐る恐る、梅雨の雨雲をワンシーズンまとめて取り揃えたような惨状の光景に目を凝らしてみれば、やはりシュショテの島である。どうやら無作為に放浪しているうちに、一周してしまったらしい。
雨に濡れるのを覚悟で頭を出し、机の上を確認すれば、お菓子の上にはちゃっかりと防水布で覆いがされていた。
泣き虫で、感情的で、でもこう言った抜け目のない所をもった雨女なんて、恐らくこの世に二人はいない。
「……ホンディエだ」
その声に若干残念な響きがあったのは、おそらく誰も否定しまい。
見れば豪雨の中、大きな傘の下で泣いている三つ編みの少女の姿があった。
「ひっく、そりゃぁ私は目立たないですけれども。えっく、だからって誕生会で仲間外れにされるだなんて」
おーいおいおい。えーんえんえん。
放っておけば、長編悲劇のシナリオを一つ書けてしまいそうなくらい、延々と泣き言が続くことを知っているリンは、シュショテの島が水没する前に行動を起こした。
「ホンディエ、ホンディエ!」
大きい声を出してようやく、ホンディエはリンの存在に気付いた。すると、とたんに空の雨雲は霧散し、晴れやかな笑顔でホンディエはリンに駆け寄った。
クイのホンディエは、丸ぶち眼鏡といい、長い三つ編みといい、見るからに大人しそうな少女だった。一見したところでは唯の無害な女の子だろう、しかし、その実態は、本気で泣きだせば草一本残らないと言われている驚異の雨女なのである。
「あぁ、リン!よかった、仲間はずれじゃなかったのね!!」
「……うん」
シュショテも多分ダガーたちを探しに行っているんだろうと言えば、三人ともよく知っている彼女はすぐに、あぁなるほどと納得した。
ならばなぜ、皆が彼女を仲間外れになんてしないということが分からないのだろうか。リンの永遠の謎である。
「モイモイさんまでびしょ濡れじゃない。はい、拭いてあげる」
ひょいっとホンディエはモイモイさんを持ち上げた。当然、少し雨にぬれた頭の花が見えたのであるが、ホンディエはにっこり笑って奇麗なお花ね、と言っただけで持っていたタオルでモイモイさんを優しく拭き始めた。
「奇麗?」
リンにとっては頭痛の種である。奇妙な調子で聞き返せば、ホンディエは全く裏表のない笑顔で同意した。
「嬉しそうなお花に、ちょっと怒ったみたいなお花、悲しそうなお花と、楽しそうなお花。沢山色があるのね」
素敵だわ、と素直にホンディエはほめた。リンはちょっと黙った後、顔を真っ赤にしてもじもじした。
【ポン!】
「あら、今度はピンク?」
ホンディエが感心している間にも、リンの頭の上には花が咲き続けた。それだけでなく地面にまで花が咲き始める。まるでたっぷり水を与えられて、喜んでいるかのように花はその勢いをとどめない。
リンはどうすることもできず、また先ほどよりもグルグルする頭をもてあまし唸った。
「うーん」
するとそこに、追いついたシュショテ達が降り立った(ダガーの腰には迷子防止用のリールが結わえつけられていたが)。
シュショテは靴にしみ込んでくる水に不快そうに眉をひそめたが、さすがにここがどこであるかすぐに把握したらしく、首をかしげた。
「ん?僕の島じゃないか」
「あ、シュショテ、ダガー、ソング!」
声のした方をみて、シュショテは叫んだ。
「リン!!」
もはや、花の妖精か人間フラワーポットかといった様子のリンに、おろおろとして今にも泣き出してしまいそうな雨女ホンディエ、まるで収集のつかない状態にシュショテは大いに眩暈がした。
「ねぇねぇ」
その服の裾を、ソングが引っ張った。
「これってやっぱり/flowerじゃなぁい?」
「!!」
言われてみれば、花の咲き方など魔法のようである。
しかしシュショテは首をひねった。
「もちろんリンも魔法は使えるけれど、所詮すぐに消えてしまう魔法の花だよ?」
当然自分から花が生えるだなんてこともない。
「ん〜魔法はすぐに消えちゃうけどぉ、リンの思いはぁ消えないんじゃないかしらぁ?」
「それって……」
どういう意味。と聞こうとしたところで、人間花束と化したリンがむっくりと立ち上がった。
「大丈夫か?」
ダガーが声をかけるが、リンは増えた花によろめき返事もままならない。
見かねて、ホンディエと一緒にその頭の花をむんずとつかんで引き抜いた。
あまり抵抗なく引き抜けたそれに目をやれば、ホンディエのもっている花束はピンク、ダガーの持っている花束からは青の花が主に輝いたではないか。
それを見てソングは微笑んだ。
「ピンクのお花は嬉しい、青のお花はごめんなさい、かしらねぇ」
「……」
「きっと貴女の為のお花もあるわ〜」
「……はぁ」
リンの頭は二人がかりで抜いても、後から後から咲いてきりがなく、本人の周りの花畑も拡大の一途をたどっている。この調子でいけば、シュショテの島が花まみれになるのもそう遠くはあるまい。
シュショテはため息交じりに立ち上がると、リンの近くへ歩いて行った。
「そう言えば、僕まだ聞いてないんだけど」
リンは花を揺らしながら首をかしげた。
「……なんだっけ?」
「『おめでとう』って、言ってくれないの?」
その時、拡大する花畑の勢いが止まった。
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「まだ一回も言ってなかったっけ?」
「言ってないよ」
「本当に?」
「追い出すよ」
「そっか!」
リンは空の太陽より晴れやかで、頭に咲く花よりも鮮やかな笑みを浮かべてこういった。
「誕生日おめでとう、シュショテ」
「ありがとう、リン」

胸の中から、伝えたい気持ちはいくらでも湧きあがって来るのに、つたない言葉だけでは表わしきれなくて、それでもどうしても伝わりたい気持ちが形になって咲いたのだ。
リヴリーだものぉ、とソングは微笑んだ。伝わりきらない言葉を補うために、彼らは沢山の魔法をもっているのだ。
いまだ取れないリールと格闘していたダガーは、呆れたようにつぶやいた。
「くっだらねぇ、わざわざ花にならなくたってわかるっての」
「まったくだよ、人騒がせな」
「でもぉ楽しかったじゃなぁい」
「よくわかんないけど、私のせいじゃないの?」
シュショテは机の上の防水布を取り去りながら言った。
「さて、少し遅れたけどさっさと誕生会を終わらせよう」
もたもたしてられないよ、と言って彼女はリンを見て少し微笑んだ。
「明後日のお前の誕生会の準備もしなきゃいけないんだから」
ポポポポン!
びしょ濡れだったシュショテの島に嬉しそうな色をした花が一面に咲き乱れた。
「……まずわぁ、お花摘みからかしらぁ?」
「草むしりだよ」
秋も深まった、涼やかな青空から、気持ちのいい風が花畑を吹き抜けて行った。




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