受け付け済み設定集

番号:006 まだまだ日の出もまだの早朝に、
シュショテは誰にも一言も言わずに、出かけた。
その日は凍えるような寒さで、
“ジャケットを羽織ってくればよかったな“なんて思いながら、足早に目的の場所へ向かった。

「あれー、シューちゃんは?」
ソングは起きて来るなりそう聞いた。
「知らないわよ。買い物にでも行ってるんじゃないの。」
お茶をすすりながら、素っ気無くリンは言った。
「えーつまんない。」
そういって頬を膨らまし、ソングは二度寝しに、また寝室へ戻っていった。
「ご飯、出来ましたけど食べられますか?」
そう丁重に聞いたのはホンディエだ。
「有り難う、頂くわ。」
リンはにこっり微笑み、テーブルへと移動した。
ホンディエの料理は美味しい。
小さい頃から料理が得意だったホンディエは、いつの間にか調理担当となっていた。
「今日は何だ。」
良い匂いを嗅ぎつけたのか、眠そうな顔でダガーが起きだしてきた。
「今日はフランスパンにジャムを作っておきました。」
食卓には、色とりどりのジャムとバターに焼きたてのフランスパンが切って置いてあった。
見るからによだれが出そうな朝食を、ダガーは“いただきます”と一言言って、黙々と食べ始めた。

「やっと・・・着いた。」
シュショテはそう一言を漏らし、座り込んだ。
家から一山超えたところにあるその場所は、
日が出た事もあるのか、ぽかぽか陽気に包まれていた。
「あったかあ〜い・・・。」
今までずっと寒さで凍えていたシュショテにとって、最高の暖かさだった。
シュショテはたんまりとその陽気を吸い、はいた。
「こうしちゃいれない。急がなきゃ。」
いきなりシュショテは起きだし、作業に取り掛かった。

「・・・つまんない。」
ソングは言った。
リンとホンディエは食料の調達に町へ。
ダガーは木材を調達に山へ出かけていた。
一人になったソングは一時むくれていたが、
そうしても意味が無い事に気づき、やめた。
「シューちゃん早く帰ってこないかな・・・」
ソングはそうつぶやいた。
――いつまでたっても帰ってこない四人を、ソングは本気で心配し始めた。
もしかして自分は捨てられたのじゃないのだろうか。
そう思うと、凄く怖くなった。
「違うよ。皆買い物に手間取ってるんだ。」
そう、自分に言い聞かせ、何時間も待ち続けた――

「こんな感じでいいかしら。」
「そうね、そろそろ決行しましょう。・・・頼んだわよ。」
「任せろ。」
そういって、切り株に座っていた大男はむくっと立ち上がり、
歩き出した。

ピーンポーン
ふいに、チャイムがなった。
その音に、ソングは心を躍らせた。
やっぱり皆は私を捨てたわけじゃなかった!
「もう、皆おそ――っ!」
いきなり黒いマントを来た大きな何かからつかまれた。
体格からして、男だろうか。
ソングは必死にもがき、助けを求めたが、力が強すぎる。
首をとんっ叩かれたソングは、気を失った――

此処は何処・・・?
其処は暗く、余りの漆黒の強さに、恐怖さえ覚えた。
あ、そうだ私、誰かから此処に連れてこられたのか。
やっと正常に動き出した頭は、ひそひそと何を話している声を捕らえた。
この声は・・・もしかして。
そう思った瞬間、部屋がぱっと明るくなった。
いきなり電気がついたので、目がチカチカして前が見えなかったが、
ようやく見えるようになったソングは、目の前の状況に驚愕した。
「なに・・・これ。」
そこには色とりどりの料理にと・・・シュショテにリン、ホンディエ、ダガーが居た。
何で皆が・・・。
ソングは目の前の料理よりも、三人が自分一人を外し者にした事が悲しかった。
「遅くなってごめんね。準備に手間取っちゃって・・・。」
誤るくらいなら早く帰ってきてよ。
準備って何の準備?
一言一言が本当に悲しくて、ソングは泣きたくなった。
「これ、皆から。」
シュショテに大きな紙袋を手渡された。
「あけてみて?」
シュショテはにっこり笑っている。
袋の中には・・・・大きな可愛い犬のぬいぐるみと綺麗な花束が入っていた。
「今日誕生日でしょ。皆でかってきたのよ。
花シュショテが摘んできたのだけど。」
リンが言った。
シュショテは照れたように笑った。
ソングは皆が自分を好きで一人にしたわけじゃないという事を知り、
さっきまでの自分を悔いた。
「ごめんね、一人にして・・・。寂しかったでしょう?」
シュショテはそういって、ソングの頭を撫でた。
その瞬間、ソングは涙が溢れ出し、止まらなくなった。
「ありがっとっ・・・っ!」
泣きじゃくるソングをダガーが抱き上げた。
「さ、食べましょ!冷えちゃいますよ。」
そんなホンディエの一言で、ソングの誕生日パーティは始まった――




---Livly Island---
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