題材

設定は以下のようになっています。
Linn
画像なし
(デフォルト・擬人化 共通部分)※全員
1.設定したリヴリーの名前:Linnちゃん
2.性別:女の子
3.年齢:17
4.性格:大人びたお嬢様
5.趣味:読書。編み物。
6.その他:
↓ ******************** ↓
(擬人化設定)※苦手な方は省略できます
1.髪の色(基本的にはデフォルトの色と同じです):本紫
2.目の色:鉄色
3.肌の色:色白
4.身長:156cm
5.体重:43kg
6.容姿の特徴(外見):緩く波打った長髪をお団子にして纏めている。
7.好きなファッション:紫を基調としたもの
8.性格(擬人化で強調されるものがあれば):つっけんどんだが、褒められたり、撫でられたりすると照れる一面も。
9.趣味(擬人化で強調されるものがあれば):編み物が好きだが実は不器用で上手く作れた試しがない。
そのためいつも器用なoOsong2世Ooちゃんと一緒に作っている。
10.その他:
話し方
「私、そんな事に興味ないの。ほっといてくれる?」
Chuchote
画像なし
(デフォルト・擬人化 共通部分)※全員
1.設定したリヴリーの名前:Chuchoteちゃん
2.性別:女の子
3.年齢:16
4.性格:強気で活動的
5.趣味:お祭り巡り、買い物
6.その他:ホンディエくんと幼馴染
↓ ******************** ↓
(擬人化設定)※苦手な方は省略できます
1.髪の色(基本的にはデフォルトの色と同じです):白藍
2.目の色:鉄色
3.肌の色:標準的な肌色
4.身長:154cm
5.体重:42s
6.容姿の特徴(外見):巻き毛のツインテール
7.好きなファッション:パステルカラーのワンピース
8.性格(擬人化で強調されるものがあれば):お祭り好きで年間の祭り行事が生き甲斐
9.趣味(擬人化で強調されるものがあれば):お祭り巡りにはLinnちゃん達がつき合わされる
10.その他:ホンディエくんには特に容赦が無く、買い物の荷物持ち等は殆ど彼に任せる。
話し方
「ホンディエ!早く行くわよ!売り切れたらどうするの!」
oOsong2世Oo

全体図
(デフォルト・擬人化 共通部分)※全員
1.設定したリヴリーの名前:oOsong2世Ooさん
2.性別:女
3.年齢:12
4.性格:見た目も中身もおっとりゆっくりふわふわした女の子。
楽しいことと眠ることが大好き。非常によく寝る。ゆっくりだが手先などは器用なので
お菓子作りや手芸などが得意。
5.趣味:お昼寝・手芸
6.その他:
↓ ******************** ↓
(擬人化設定)※苦手な方は省略できます
1.髪の色:薄いピンク
2.目の色:空色
3.肌の色:色白
4.身長:140cm
5.体重:普通
6.容姿の特徴(外見):腰まであるゆるいウェーブがかったふわふわの髪。
ピンクの角ともふもふしたしっぽが生えている。
7.好きなファッション:ふわふわもこもこした服が好き。リボンもすき。
白やピンクも服をよく着ます。
8.性格:基本的には↑と一緒です。
9.趣味:
10.その他:小中高一貫のLivly学園に通っていて、現在中等部1年生。
ミミマキ双子さんとはご近所さんで、昔からよく遊んでもらっていた。

「わたし、リンお姉ちゃんとシュショテお姉ちゃんみたいになりたいなぁ…。」
「ふふ…ホンお兄ちゃんはやっぱりやさしいね。」
「ふぁ……。…なんだか眠くなってきちゃった…」
スクリーミングダガー
画像なし
(デフォルト・擬人化 共通部分)※全員
1.設定したリヴリーの名前:スクリーミングダガー様
2.性別:男
3.年齢:22
4.性格:クールで客観的
5.趣味:ミニリヴたちと戯れること。読書
6.その他:特技は剣術と体術と歌
↓ ******************** ↓
(擬人化設定)※苦手な方は省略できます
1.髪の色(基本的にはデフォルトの色と同じです):蒼
2.目の色:水色
3.肌の色:白
4.身長:175程度
5.体重:69
6.容姿の特徴(外見):濃い青の腰ぐらいまでのジャンパー下の首まである長袖のTシャツは黒。
ズボンも黒。靴は蒼。レイピアを腰にかけている
髪の毛はウルフカット風
7.好きなファッション:動きやすい秋物形のかっこいいやつ
8.性格(擬人化で強調されるものがあれば):
基本クールであんまり人に干渉しない
感想が多かったりもするけど みんな様子をみて微笑んだりしてる
勉強はできるけど家事はニガテ。
しらけた奴に見えるけどイベント大好き。
9.趣味(擬人化で強調されるものがあれば):過去の文章とか観光地図とか。イメージに似合わずミニリヴたちとお菓子を食べること
10.その他:
ホンディエ
画像なし
(デフォルト・擬人化 共通部分)※全員
1.設定したリヴリーの名前:ホンディエ
2.性別:女
3.年齢:16歳
4.性格:泣き虫で感情的。でも意外と作為的な面もある。
5.趣味:大雨による浸水をバケツで排水すること。
6.その他:泣けば必ず集中豪雨が起こるという雨女。何が怖いって、特殊な能力とかではなく、ただの雨女だというのが一番怖い。
↓ ******************** ↓
(擬人化設定)※苦手な方は省略できます
1.髪の色:抹茶色。
2.目の色:ダークグリーン。
3.肌の色:薄い桃色。
4.身長:162p
5.体重:45s
6.容姿の特徴:丸眼鏡に、大きな三つ編みを二つ垂らしており、図書委員というイメージが似合う娘。スレンダー。
7.好きなファッション:防水服(カッパとか)が好き。ツーピースのブラウスとミニスカートをよく着る。
8.性格:少しだけ自己卑下と被害妄想の持ち主で、自分は目立たない地味な子だといつも悩んでいる。悩みすぎていっそそれがデフォルト。だが結構神経が図太いところもあり、言い方を悪くすると抜け目ない。人一倍素直で、人を褒めるのを一切躊躇しない。相手の長所を見抜くのも得意である。
9.趣味:上記に同じ。
10.その他:


小説 下の小説を読んで、挿絵をつけてください。

「れっつパーティ!」by虚ねこ
行数 本文




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もうすぐLinnとChuchoteの誕生日がやってくる。
2週間も前から何だか皆落ち着きがないようだった。
きっとクールなスクリーミングダガーも、一見何も考えていないような体のSongも、
もう2人にあててプレゼントを準備しているのだろう(と期待)。
そんな中、ひときわおかしいのが主役であるChuchote(シュショテ)だ。
C「あぁもう、考えられませんっ…。あれを…あれをやらないなんてっ」
「あれ」・・・・?
彼女の言う「あれ」……。そう、それはパーティ!
自他共に認めるお祭り女である彼女は、誕生日は祝いたいものなのだ。
クッキー焼いたり、ゲームしたり、皆が選んだ心づくしのプレゼントだって
玄関先じゃなく渡されたりしたいのであった。
そ・し・て。何より彼女はケーキのロウソクを吹き消さないと
パーティじゃないと思っている。
しかしそれには友人たちと、中でもケーキ焼き係(主にSong2世)が要るのだった。
C「でもっ!自分の誕生日祝って欲しいなんて、言えないじゃないっっつっ!!」
そうなのである。そしてそんな彼女に来客が。
妹のように可愛がっているSong2世である。
S2「どうしたの、シュショテ姉?」
C「(…いいところに来たわ)……ねぇ、ソング…。何か忘れていることはありません?」
S2「え?明後日提出の地獄の10pレポートなら終わってますよ?」
C「げっ・・そんなのもあったんだったわ。ってそうじゃなくて!」
腕を組み「むぅ……。」と考え込むSong2世。
ぽん、と手を打つと明るく言った。
S2「あ、誕生日プレゼントなら用意できてますよ♪……もう欲しいんですか?」
C「ありがと…って、違ぁうっ!誕生日当日なら何かやることありません?!」
このあたりでようやくSong2世は「発作」に気付く。
Chuchoteをおかしくする要因がそういえば2週間後に。
S2「……そっかシュショテ姉……。パーティしたかったんですね☆」
C「………//////」
自分で分からせたくせに照れるさまが可愛くて、思わず微笑む。
S2「その日はちゃんと予定空けてありますよ。皆でお祝いしましょ?」
というわけで。
その日のうちにSong2世お手製の愛らしいカードが残りの3人の
メンバー(Linn(リン)、スクリーミングダガー、ホンディエ)に届いたのであった。
ホ「あ……何か届いてる。」
ホンディエは島の掲示板に何か挟まれていることに気づいた。
彼女の緑色に合わせた若葉色の和紙の封筒。Song2世の心遣いである。
ホ「…パーティ…。私も誘ってくれるんだ……。嬉しい♪」
その時喜びのあまり一滴こぼした涙のせいで、その日1日彼女の島には雲がかかった。
極度の雨女体質である彼女は、涙により雨ごいと同じ効果をもたらすのだ。

同じ頃スクリーミングダガーの島では。
ス「む……LinnとChuchoteもそろそろ誕生日だったな…。(忘れていた)
  そうだな……。プレゼントは何がいいだろう…。」
そしてふと下を見る。そこには愛刀レイピアと、それを支える
細身だが丁寧に縫われた革のベルトがあった。
丈夫に作られたそのベルトはChuchoteからの貰い物。
それを見て改めて感謝したスクリーミングダガーは、山に出かけることにした。
一体彼は何を調達してくることだろう・・・・?^^;

そして主役のもう1人、Linnはというと…。
L「まぁ……。みんな祝ってくださるのね。嬉しいわ。
でも私だってこうしていられない。Chuchoteに何か用意しなければ……。」
悩みに悩んだ彼女はレース編みに挑戦することを決断、
急きょ妹分であるSong2世に連絡を取った。
なぜなら家庭科全般は彼女の本分だからである。
話を一通り聞いた彼女は、にこやかに笑い、
S2「じゃあお手伝いさせていただきますね♪」と言う。
それから2人のプロジェクトは始まった。

それぞれの思いで動き始めて3日後。
何も知らないChuchoteは、Linnの所にやってきた。
C「リン姉――!居る?」
S2「……向こうから来るの…。シュショテ姉じゃありませんか?」
L「それは困る……っ。隠して!」
間一髪。戸棚に何とかセットを突っ込むことに成功した。
C「…どうかしました?」
L「な、なんでもないわ……。で、どうしてここへ?」
C「そうそう、パーティのことですけど。そろそろ飾り付けの支度をしません?
ほら……くす玉とか、クラッカーとか。輪飾りとかでも良いですよね。」
L「くす玉はともかくクラッカーは危ないですよ^^;」
C「そんなことないですよ。…ねぇ、一緒にしましょう?」
L「そうねぇ…。」
………ごそ。
慌てて隠した糸やかぎ針が棚から出かかっている……。
Song2世が押さえようとしているが、彼女の身長では惜しくも手が届かない。
このままではプレゼント内容がばればれだ。
落ちてくるのも時間の問題だと判断したLinnは、
とにかく早くChuchoteにお帰りいただくことにした。
L「ね、ねぇシュショテ…。雨が降りそうだと思わない?」
C「……?雨なら昨日降ったばかりよ?」
L「そ、そうだったわね…。あ、私お腹痛くなってきちゃった。
 悪いけど、今日は帰ってもらえないかしら…?」
C「リン姉…ほんとに大丈夫?おかしくない?病院いった方が…。」
L「ソングも居るし、だいじょぶ、だか、らっ!」
しきりに不思議がるChuchoteを半ば無理に追い出し、ほっとするLinn。
しかし………。
C「…やっぱり変だわ…。しかもソングは居ていいなんて…。
 2人でよってたかって隠し事してるんだわっ…。」
帰り道でChuchoteはご機嫌斜めだった。
しかもあながち間違ってはいない。
C「いいわよっ………。ホンディエに付き合ってもらって買い物行くんだから!
 パーティくらい2人で仕度できるんだからっ!!」
どうしてすでにホンディエに手伝わせる予定が入ってるのだろうか。
とにかくそういうわけで、ホンディエは機嫌最悪の友人を接待するはめに。

C「ホンディエ!居るかしら?!」
ホ「あ、シュショテさん…。いらっしゃい。」
入ってきたChuchoteの顔を見て、本能がヤ・バ・イと告げる。
こういう日のChuchoteにうかつに口出すとろくなことにならない。
それでもホンディエは、Chuchoteの優しさを知っているので
どんなに機嫌が悪くてもおとなしく振り回されてやるのであった。
ChuchoteはChuchoteで、知識溢れるホンディエを信頼していた。
だからこうして泣きつきにも来るし、買い物と称しては
家に居がちなホンディエにまめに日の光を当てるのであった。
C「あ………本読んでたのね。邪魔してごめんなさい。」
ホ「いいよ…。ちょうど読み終わったところだったし…。」
ここらで、どうしてホンディエを頼ったかChuchoteは思い出す。
C「リン姉が悪いんだからね……。」
ホ「?」
C「な、何でもないわ…。ところで…。」
手短にパーティの仕度を手伝って欲しいことを伝える。
ホ「そんな…私で大丈夫…?」
C「だいじょぶだいじょぶ!力仕事はスクリーミングダガーさんに頼むから。」
ホ「………。(ダガーさんも使うのか…^^;)」
C「こうなったら善は急げ!買い物に行きましょう!」
ホ「……(立ち直り、早いなぁ…。)」
C「ホンディエ?何してるのよ、売り切れるわよ?」
Chuchoteはすでにダッシュ体勢だ。
ホ「ふふっ……はいはい。」
このテンポが2人が親友であることの秘訣なんだろう。

その日の午後、ヤドカリ横丁にて。
ホ「………。力仕事はダガーさんのお仕事じゃ……。」
C「そうよ?」
ホ「じゃあ何で私がこんなに袋持たされてい
C「何か言った?ほらほら、次はあのお店に行くわよ。」
ホ「………(流された…。)」
しかし、Chuchoteは生き生きしている。
そんな横顔がとても可愛らしい女の子に思えて少しまぶしくて、思わず
ホ「シュショテさんって…。可愛いですよね。」と言う。
C「何を……。そんな、当たり前じゃない…っ…///」
ホ「うふふっ♪」
照れるさまが可愛いと笑う。
でも夕日に照らされるホンディエ自身はまだ、自分の価値を知らない。
というより信じられていないと言うべきか。
でも控えめさからくる彼女の他人に対する賛美は美徳だった。

次の日の明け方。山を探索している男が1人。
スクリーミングダガーである。
ス「あったあった……。忘れな草。」
忘れな草なんて、切ったらすぐに枯れるだろう。
そんな事は彼の頭に入っていないのだろうか?
その時、不穏な気配が背後に迫る。
?「ヴルルルルルル………。」
ス「…?狼か……?」
果たしてその通り、黒い毛皮の大きな狼がぬっくと草むらから姿を現した。
体重は大人の人間2人分ほどもあろうか、この山の主ともいった貫禄。
目はらんらんと黄金に輝き、こいつは食えるだろうかと思案しているようにも見える。
しかし当のスクリーミングダガーはどこ吹く風だ。
ス「うーん……狼鍋はちょっとな……。でも毛皮ならいいかも…。
 そうだ、ソングにクッションにでも作り変えてもらえば……。」
なにやらぶつぶつと言っている。
狼「ヴ………。」
そんな彼に苛立った狼は上体をぐっと下げ、飛び掛る構えになった。
そこでようやっとスクリーミングダガーは振り向き愛刀の柄に手をかける。
ス「首筋……かな?弱点。」
ゆらりと闘気が立ち上る。ある程度の実力がある山の主だからこそ、恐怖する。
見える。見えるのだ、濃いエネルギーが。
彼を中心に淡い紫色のオーラが取り囲むように渦巻く。
狼は死の危険を感じ、くるりと背を向け逃げにかかる。
さすがにスクリーミングダガーだって人間だ、足では狼に敵わない。
とっさにその背中に向けてレイピアを投げた。
見事刺さったレイピアが、狼の居場所を教える。
嗅覚で血のあとを追ってゆく。追い詰められた狼は決死の反撃に出た。
狼「ヴヴヴヴヴッ!!」
冷静に彼は膝を曲げ、懐に入り込む。刀を抜こうとしたが投げたことに気付き、
とっさに気を最大限まで乗せた拳でアッパーを放つ。
狼はきゃんと吠えたきりになった。
ス「さて、と。持って帰るのが面倒くさいが……。あ、蜂の巣。持って帰ろう。」
……。何に使う気なのだろうか。

パーティまであと3日。
LinnとChuchoteはギクシャクしたままお互い話しかけられずにいた。
Linnのほうも、パーティ当日までネタばらしするわけにいかず、
やきもきする時間ばかり増えた。
そんな鬱憤をぶつけるように、ほとんど1人で
来る日も来る日もレースを編み続けるLinn。
遂にその大きさは膝の上で広げるのが難しいほどに達した。
S2「このままじゃ糸も引っかかっちゃいますね・・・。」
L「そうね……。今日は天気もいいし、外のお庭でやりますか♪」
抱えたレース束が意外に重くにっこりする。
自慢の庭の芝生にレースを広げると、それを布団代わりに寝入ってしまった。
そんな姉貴分を横目で見ながら、少しでも負担を減らしてあげようと
Song2世はせっせと作業の続きをしてあげるのであった。
一針でも完成に近く。ほつれた所は丁寧に直して。
頑張りすぎるLinnのために。
山は青く、空気は澄んでいる。絶好の日光浴日和であった。

その頃スクリーミングダガーは山を降りていた。
仕留めた狼は干し肉と毛皮になり、手にした袋一杯に色々な調達品が詰め込まれている。
普段は郊外に住んでいるものの、時に山が恋しくなって
無性に登りたくなってしまう性分であるから、
現地での寝起きや肉の調達は慣れっこのことであった。
そして優れた五感がそれを支えている。
そんな鋭い目が、山の4合目まで下りたところでLinnの家を捕らえた。
ス「何か…白い?布のようなものを広げているが……。まさか今日か?
  いや、まだ日には早い……。それに場所はChuchoteの所だったはずだ…。」
近づくにつれて、それがレースであることを認識、
そして未完成であることも分かった。
ス「(そうかあれは………。Chuchoteへだな?可愛いことするじゃないか)」
気付かない振りをしてやろう。そう思った彼は少し道を外れ、小高い丘の後ろを回って
居心地のいい我が家へと久々の帰還を果たすことにしたのだった。

パーティまであと2日。
めっきりお菓子の支度に忙しくなってしまいSong2世は
レース編みから戦線離脱してしまった。
S2「リキュールにナッツに…忙しいです…。」
それでもLinnはほとんど執念で編み続ける。
おっとりお嬢に見えて、決めたことはやり通す根気。
あと5パーセント。ふちをかがれば終わりだ。
見え始めた完成に向けて、Linnはスパートをかけているようだった。
間に合わせたい、その一心が彼女を動かす。

おおまかな装飾を終えたChuchoteの機嫌はなおっていたものの、
テーブルクロスの具合が気に食わないとホンディエにこぼす。
C「どうもこの柄がね…。」
ホ「そう……?」
C「それから短すぎる気がするわ。行って別の買ってくるから待っててくれない?」
ホ「え・・・予算がそんなにありませんよー><」
ホームパーティ規模のものであって、何万ddも使うわけにはいかない。
ス「いいじゃないか…。特にテーブルのレイアウトが綺麗だな。」
そこに現れたのはスクリーミングダガー。
刈りそろえない無造作なウルフカットが少し湿っていて、
日課の水浴びの後を思わせる。
C「そ……そうかしら?」
年上に影響されやすいChuchote。
根は素直でいいこなので、ちょっとテンションが落ち着くと戻る。
ス「お、ホンディエ特製の骨型クッキーもあるな。湿気てしまわないよう
 ちゃんとタッパーに入れておいたほうがいいぞ。」
さりげなくホンディエを褒めることも忘れない気遣い。
ス「そして見たとこほとんど終わっているようだが…。何か手伝えることはあるか?」
C「特にないですわ。」
ホ「そうですね…。食器も磨いてしまいましたし…。あ、そうだ。
ソングさんのところへ行ってみるのは?彼女、ここに載りきらないくらい
沢山お料理作るって張り切ってるんですよ…。」
ス「そうか…。そちらの方が手伝えることは多そうだ。行くとしよう。」
というわけで場面は厨房(Song2世宅)へと。

S2「あぁ忙しい。フルーツの仕込み、それに粉をふるって…。」
そして今は重そうな蜂蜜のビンを持ち上げようと四苦八苦している。
そこに後ろから手が添えられ、軽々持ち上げられる。
ス「いつもこんな重いものも一人で扱ってるのか?…というかこれは何だ?」
S2「あ、ダガーさん♪いらっしゃいませ。これはレンゲの蜂蜜で、
 コクがあるのに爽やかでケーキにも使いやすいんですよ。」
ス「相変わらず詳しいな…。手伝えることはあったりしないか?」
S2「そうですね……。」
Song2世は、去年のパーティの際彼に援軍を頼んだら
どういうことになったのか明確に思い出せた。
何をどうやったらいきなりケーキが爆発するのか、料理には不思議が尽きない。
S2「そこに大きなお鍋がありますが、それを洗っていただけませんか?
 私じゃ奥まで上手く洗えないので……。」
ス「承知。」
……彼は後列支援に回すことにし、繊細な作業をこなしていく。
バターとチョコレートを混ぜ合わせ、黄身とメレンゲを加えてガトー・オ・ショコラ。
愛らしいプチシューを積み上げて飴掛けしたらクロカンブッシュ。
刻んだ漬け込みフルーツの香りがたまらないパウンドケーキ。
魔法のように彼女の手から味が生まれる。
思わずたわしを休めながら見とれるスクリーミングダガー。
ス「……私ももっと精進せねば…。」
S2「…?ダガーさん、何か言いまして?」
ス「いや、何でもない。それより鍋をもうすぐ洗い終わるがどうすれば?」
S2「そこの上の棚に。他には特にないので大丈夫です♪
  お手伝い、とっても助かりました。ありがとうございます。」
ス「礼には及ばない。むしろこれくらいしか出来ない自分が情けないくらいだ。」
S2「そんなことありません!採れたての野菜、いつも美味しく頂いてます。
  私にはトマトもきゅうりも作れない。それだけで凄いこと、なんだと思います。」
ス「……そうか。ありがとう。元気が出た。」
S2「それはよかった♪いよいよ明後日です、油断して体を壊しませんよう。」
ス「そちらこそ気をつけて。」

その足で彼は川の上流の滝にある苔むした場所に向かう。
そこは彼の鍛錬場であり、舞台であり、お堂だ。
少し傾いて立っている打ち木の傷の多さが、彼がここに来る目的の多くだった。
しかし今日はがむしゃらに剣を振るわけではない。
2人の誕生日に贈る剣舞の練習に来たのである。
体術、道術、そして剣術と、武芸に秀でた彼は同じく剣舞も得意である。
着慣れた藍袴の裾がたなびく。そして、動いた。
笛の音が一瞬聴こえる。
周りの竹林が一斉にざわめきだす。
風景も、光も。皆巻き込んで彼は舞う。
映える緑の中心に彼は居る…………。
恋をする舞姫。しかしその思いは若君に届かない。
その悲しみさえも力にし、躍動し続ける強さ。
美しい若い体が跳ね、飛び、表現していく。
気付いたら舞台の中心で深く礼をする男。
一瞬で終わったようでいて、かつ久遠の時を其処に居たような。
時の感覚すら歪めさせる、力ある舞だった。
剣をしまうと彼は山を下り始める。
暗くなってからでは足元が危ないのを十分に知っているからだ。
そう、もうすでに夕暮れはそこに来ていた。

前日。
やっと最後のケーキをオーブンに入れてしまってほっとするSong2世。
S2「ふぁあぁ…。疲れました。でも……。」
彼女は休むどころではない。気になることがあるのだ。それは……。
ずっと放置したままになっているLinn。

Song2世はエプロンを脱ぎ捨てると、大急ぎで道を下ってLinnの住まう家に向かった。
しかし。
S2「……何だか薔薇の元気がない気がします………。」
心配したとおり、Linnは寝食を忘れてレース編みに漬かってしまったらしい。
当然薔薇の手入れとかそういったものは全て忘れているわけで。
Song2世は薔薇たちに水をやろうとして気付いた。
この予想が正しかったら、Linnは1日何も食べていないのでは?
S2「Linn姉さんっ!!」
慌ててドアベルも鳴らさず家に駆け込む。
L「…………くーくー」
疲れのあまりか、彼女は陽だまりで針を持ったまま寝込んでいた。
あと一針のところで睡魔に負けたらしい。
Song2世は一瞬完成させておいてやろうかとも思ったが、やめた。
最後の一針のお楽しみは、彼女が貰うべきだから。
お手柄は彼女に任せることにして、お昼寝にご一緒させて頂くことにした。
レースの中は1人より2人の方が暖かいから。

それぞれの思惑を持ったまま、遂に当日がやってきた。
会場はChuchoteの白薔薇の温室だ。
勿論今日のために一斉に咲いたバラたちが出迎える。
最初にやってきたのはホンディエ。
淡いモスグリーンのキュロットが似合っている。
暗い色調の中に差し色である白が華やかさを添える。
ホ「すっかり支度出来てますね♪流石です。」
C「馬鹿ねホンディエ、あなたが手伝ったのよ♪」
応対するChuchoteはというと清楚にまとめている。
白いワンピースは緩やかに広がり、上品なエナメルの靴が引き締め。
巻き毛はいつもより高い位置で結び、その水色は透き通るようだ。
そこへSong2世がやってくる。
S2「こんにちは、シュショテ姉さん♪」
持ち前の童顔を生かして少しロリ気味のミニスカートをはきこなしている。
ギンガムチェックを随所にあしらい、派手過ぎない演出。
C「いらっしゃいー♪お菓子、こんなに沢山、ありがとうね。」
まさに山と積まれたスイーツは、もう1人の主賓の到着を待っているようだった。
スクリーミングダガーもやってくる。
ス「凄いな……。」
C「皆で支度したんですよ?」
ス「花の手入れも完璧だな。頭が下がる。」
C「それほどでもないです♪」
にこやかに話していると、時間が立つのは早い。
そして言いはしないがみんな思っている。
「Linnが、来ない」
不安のまま10分がたち、20分がたった。
ホ「あ………。あれはLinnさんでは?」
いや、しかし大きい。なんというかそれは……。
ス「ハロウィンの予定は無かった筈だが…。」
仮装のようで。
L「ふぅ………。やっと着きました。遅れましてすみません。」
Linnは一人で持つには大きかったレースを担いで持ってきたのだ。
C「い…いらっしゃい。だけど…それは何なのですか?」
L「これはね…テーブルクロスにして使おうと思って、
 シュショテへのプレゼントに編んできたのよ。誕生日、おめでとう。」
C「リン姉………。そんな…大変だったでしょう?」
L「そ、そんなに大変じゃなかったわ。」
S2「嘘ですよー。朝から晩までずっと頑張ってたんですよ、Linn姉さん。」
C「………。それで最近忙しかったのですか?」
L「そうよ……。一度追い出しちゃったこともあったわね……。ごめんなさい、黙ってて。」
C「………リン姉は馬鹿です。何故ですか?何故大事じゃないんですか?」
頬には涙が流し、なおも言い募る。
C「何故みんなと一緒に過ごす時間を大切にしてくれなかったんですか?
 それに………駄目ですよ、皆が大事にしているリン姉を粗末にしちゃっ!
 みんなのリン姉なんですよ?体壊したらどうするんですか…っ」
Linnは黙ってしまう。
ホ「…リンさん…。シュショテさん……。喧嘩しないで下さい…。」
ホンディエもつられて泣き出す。雨女の彼女と一緒に、空も泣く。
Linnはぽつぽつという雨音のように話し出す。
L「私だってね……。シュショテが大事。それで…。誕生日に何かあげたいと思ったとき…。
 真っ白いテーブルクロスをあげたいと思った。
 いつも使ってる黄色より、似合うと思ったら止められなくなって…。
 ………言い訳にもならないわね、ごめんなさい。それしか…言えない。」
C「…本当に大事なのは、ここに笑って皆が集まれることだと思うんです。
 その「みんな」の中にはリン姉が要ります。だから……ありがとう。
 大切に使います。でも今度から絶対………無茶は禁止です。」
L「シュショテ……。」
雨がやんでいく。
灰色の雲に覆われた庭園に光が戻り、バラたちもまた頭をもたげだす。
雲が消え去って、残ったのは虹。
色と色とが仲良くくっついた、虹。
S2「もう…せっかく作ったのに、お料理無駄にするんですか?
 ほら、皆で食べましょう。まだまだありますよ。」
ス「そうだな。しかしその前にだ。私たちはまだプレゼントを渡していないじゃないか。
  ほら……。リンにはクッションだ。シュショテには、揃いの毛皮のマフラー。」
…山の主の狼製であることはご内密に。
ス「それと…。」
懐からおもむろにろうそくを取り出す。
それは、紫、藍、桃、緑の四色の愛らしいプレゼント。
実は蜂の巣から手間暇かけて作られた、仲間たちの髪色に合わせたもの。
ホ「凄い…綺麗ですね…。」
S2「私は……これなんですけど。」
そういって差し出したのは2冊のノート。
S2「リン姉には編み物の、シュショテ姉にはお料理の、手書きレシピです♪」
L「わざわざありがとう…。まぁ…凄く丁寧に書かれているのね。」
S2「リン姉、前からずっと編み物苦手だって言ってたから。」
ホ「えっと。私からは本です。リンさんには紅茶の図鑑、シュショテさんには詩集を。」
C「詩集?!私に、詩集?!」
ホ「確かに普段シュショテさんは詩をあまり読まないかもしれませんが…。
ほら、ここなんか読んでみてください。可愛いでしょう?」

ぽん ぽん ぽん
わたぐもは
吹かれて飛んで
こがねいろになりたくて

ぽん ぽん ぽん
いつものなかのきょうも
空はあおい
うららかなはるのひは
空があおい

C「…何のことなのかしら?」
ホ「これは綿毛です。たんぽぽの。読んでるだけで、温かくなりませんか?」
C「へぇ…詩ってこんなに奥が深いのね……。面白いわ。」
そしてChuchoteの番。
C「私からはこれ。」
出してきたのはレースの塊。しかしこれはカーテンである。
C「リン姉の家のカーテン分厚くて、光が通らないから…。よかったらどうぞ。」
L「ありがとう…。シュショテ、本当に…。」
奇しくも同じレースを送りあった二人。
Linnの目は潤んでいた。
そして永遠の友情を誓うようにしっかりと抱きあう。
もうその手が離れることはないだろう。

Fine.
---Livly Island---
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